人肌に近いやわらかさが魅力のコンドーム「SKYN」。そのやわらかさで、カップルが素直な気持ちを伝え合い、お互いありのままの姿で愛し合える「やわらかい関係」を築くお手伝いができればという想いがあります。
今回は、雑誌『HIGH(er)magazine』やアンダーウェアブランド『HEAP』をプロデュースしているharu.さんmiyaさん、俳優・作家として活躍する長井短さん、スポーツタレントの田辺莉咲子さんに、「SKYN」への率直な想いから、コンドームにまつわる思い出、もっとヘルシーに性と向き合うために社会に望むことなど、さまざまなお話を伺いました。
後半には「コンドームを買う時、羞恥心がありためらってしまう」というお悩みにみんなで考えるシーンも。
4人それぞれが経験してきたリアル&未来への理想に触れ、「私はどうだろう?」と、みんなで、これまでとこれからを考えてみませんか。
「SKYN」に触れて
「肌っぽい」「医療用の素材と同じ安心感」
今回、みなさんには「やわらかい関係」「相性」「コンドーム」について、それぞれエッセイやポッドキャスト、インタビューを通して語っていただきました。そもそもコンドームの印象って、どんなものでしたか。
長井
あまり個体差を考えたことがなかったかもしれません。「着ければいいだろう」っていうぐらいの感覚だったので、コンドームそれぞれに素材やデザイン、いろんな特徴があるっていうことはあまり知らなくて。コンドームと、それを使うカップルとの相性を考えてみると、奥が深そうですよね。今回のお話をきっかけに、すごく興味がわきました。
haru.
以前、私とmiyaが制作している『HIGH(er)magazine』でコンドームを付録にしたことあったんです。マガジンのなかで性について取り上げていた流れで、グッズとして作ったんですけど、当時はパッケージのデザインだけを考えていました。コンドームって、パッケージ以外でアレンジの幅がないものだと思っていたんですよ。
だから今回お話を伺って、素材の他にもいろいろ差別化できる要素や、それぞれのブランドのこだわりがあるんだなと大きな気づきがありましたね。
田辺
確かにそうですよね。個性をつけづらいイメージがあります。
haru.
そうそう。テキスタイルみたいにフワフワさせるとか絵柄をつけるとか、ないじゃないですか(笑)
実際に「SKYN」を触れてみて、いかがでしたか。
田辺
実は私、コンドームを明るいところでちゃんと触ったの、今回が初めてなんです。
長井
ふつう、もっと暗いところで見ますもんね(笑)
医療用のゴム手袋と同じ“iR素材”というものを使っているので、アレルギーが起きにくい、性行痛が感じにくいなどのメリットがあるんですよ。リピーターがすごく多く、Amazonでは売り上げがベストセラー、1.4万件もの高評価をいただいているんです。
miya
そんな素材があるんですね。医療用と聞くと、なんだか安心感が増します。
長井
(「SKYN」を引き伸ばしながら)めっちゃ伸びる!
田辺
やわらかい皮膚、って感じがしません?すごい肌っぽくて、繊細な感じ。
一般的にウレタン素材のコンドームはタイヤに近い硬さなんですけど、“iR素材”はコンドームに使われている素材のなかではもっとも皮膚に近いやわらかさを実現しています。
どれだけ空気が入るのか実験したところ、ポリウレタンは10L、天然ラテックスは30L、iR素材は40Lと、もっともよく伸びるやわらかい素材です。
長井
私、今回寄稿したエッセイでも書いたんですけど、高校生の頃、葛根湯を筆箱に入れててて。同じようなサイズだから、コンドームを筆箱に入れてると思われて、あらぬ誤解が生まれたことがあるんです。このパッケージだったら、そんな誤解が起きないかな(笑)
田辺
私もインタビューで話したんですけど、カカオ濃度が高いチョコのパッケージを彷彿とさせません?
長井
たしかに!
miya
マットな黒ってあまり見ないですよね。
haru.
コンドームのパッケージって、ユーザーがどういうテンションで使うか、どういうライフルタイルのなかで持つのか、セックスでどんなコミュニケーションをとるのかによって、求められるものが変わってきそう。
田辺
そういう意味だと、私は雰囲気に馴染んでくれるようなパッケージなのかなと思います。
haru.
ここにいる4人それぞれが違ったパッケージを理想と思っていそう。
相性って先天的?後天的?
あってないようなものなんじゃないかな
心地よい関係でセックスと相性は切っても切り離せないと考えますが、そもそも相性の良し悪しって先天的なものなのか、後天的なものなのか、どのように考えますか?
田辺
私は後天的だと思います。人に流されやすいタイプなので、相手に合わせているうちに自分もそれが好きになるということがよくあるんです。ふたりでコミュニケーションをとっていくなかでお互いの正解を見つけていくっていうのが、私の人間関係の作り方なので、後天的かな。
haru.
私も後天的派です。例えばすごく好きな人とセックスして、しっくりこなかったとしても、「相性が悪い」とは判断しないはず。だって、セックスはお互いを知っていく過程のひとつだと思うから。どんどん変えていけるし、セックスって正解がひとつだけじゃないじゃないですか。話し合っていけば、むしろポテンシャルがあるのかなと思うし、いくらでも発展させていけるものと考えるかもしれないです。
miya
私は全員と仲良くするつもりではいるんですけど、警戒心が強くて。友人関係もお仕事でも、直感的に違和感があると、のちのちやっぱり関係を築いていくのが難しかったっていう経験があったんです。そういう意味で、相性は自分としては先天的なものが強いって思いますね。もちろん関係していくなかで、ネガティブな印象が素敵な方向に変わる瞬間もあるとは思うんですけど、どちらかというと、先天的かな。
長井
相性って、あってないようなものなんじゃないかな。今日は夫と息が合うけど、明日はバチ喧嘩とかザラじゃないですか。だから、相性がいいって思ったほうがうまくいくんだったらそう思えばいいし。私はあんまり考えないかも。
…そもそも相性がいいかどうかって、考えます?
一同
考えないかも。
長井
相性って客観的な言葉だと思うんですよ。友人たちを見てて、「ふたりは相性いいんじゃない?」とか「いや相性悪いからやめたほうがいいよ」っていう言葉は出てくるけど、当事者同士が「私たちは相性いい!」って言わないですよね。何か後押ししてほしいときの言葉のような気がします。
教科書的な性教育を知ったうえで、“私小説的な体験談”を聞きたい
――ここからは、実際に若年層の女性から寄せられたお悩みについて相談させてください。
お悩み:コンビニや薬局でコンドームを購入する時に、どうしても羞恥心を抱いてしまいます。どういう心意気で買うべきでしょうか。
田辺
私が店員さんだったら、勇気を持ってレジに持ってきた女の子には、心のなかで拍手しちゃうけどなぁ!
長井
罪悪感をなくす必要は、別にないんじゃないかな。それはそれでドキドキしながら、この店だったら、この店員さんなら大丈夫かなって買いに行くのも素敵じゃないですか。
女性がコンドームを持ち歩いていたら「遊んでる」とか「ガツガツしてる」と思われるんじゃないかという先入観も、まだまだ大きい印象があります。
haru.
女性にも性欲があるのは、当たり前のことなんですけどね。
miya
そうだよね。さっきも話題になったけど、やっぱりパッケージ問題はすごく大きいんじゃないかなって思います。
私、小さい頃、おばあちゃんとお姉ちゃんとコンビニに行ったときにかわいいパッケージの商品が売ってて、「おばあちゃんこれ欲しい」って言ったんですけど、それがコンドームだったらしくて(笑)
長井
韓国に行った時、いろんな種類のコンドームが2個セットで並んでいたんです。日本だと一箱、けっこうな数が入っているものが多いですよね。でも個数少なく売っているほうが、お土産やプチギフトとしても配りやすいし、いろいろ試してランキングつけてみない?っていうアクションも起こしやすいなって。
たとえば、吊り下げ菓子みたいにして展開するのはどうかな。必要な分をちぎって購入するような。「ちょっと買ってみようよ」なんて、コンドームを買うハードルが低くなっていく工夫ができたらいいですよね。
haru.
それはいいアイデアかも。初歩的なところかもしれないけど、手軽さは大事だよね。
miya
「女性がコンドームを買ってもいいじゃん!」って、私たちはこの場でいくらでも言えると思うんです。でも、お店でカゴに入れて、レジで出すことは、ちょっと勇気や思い切り、覚悟のようなものが必要なのが現状ですよね。そうやって個人の我慢を強いることで解決させるんじゃなくて、せっかくこういう機会をもらえたから、コンドームを販売している企業側と一緒に、何かいい策を考えていければと思います。私たちも頑張るけど、企業側も新しいチャレンジを!(笑)
たしかに、企業はもちろん、社会全体がコンドームに関する先入観をなくしていくような取り組みが必要ですよね。
miya
コンドームが使われるシーンって、身体の状態が健康で、セックスする余裕がある時だと思うんですけど、それ以前に自分が好きな相手の前で勃たないとか、生理中だけど彼と久しぶりに会えるからどうしようみたいな、人には話せないけど悩んでいることっていろいろあるだろうと思っています。コンドームについて話せる社会のベースとして、自分の状態や気持ちとか、たくさん話すことがあるんじゃないでしょうか。そのためにも、そういうことを語る余裕のある社会を、大人が作れたらいいのかなと思いました。
マンガやドラマで、女性側がコンドームを渡す描写がなかった
ふたりの相性と物語を始めるために――
最近では私立の中学校や高校でコンドームの授業が行われています。女子生徒からは、「男性が考えるものだから自分とは関係ないものだと思ってた」という声もあるようです。
miya
性別に関わらずセックスをする人がコンドームがいかに大事かということを平等に知っておくべきですよね。お互いにとってセックスが重要であるなら、避妊や性感染症についても一緒に考えられるのがいいんじゃないでしょうか。コンドームは手軽で身近なものですが、女性側も他にできる避妊方法の種類があって、そういったことも知る機会があればいいですよね。
haru.
コンドームは絶対着けてほしいけど、自分から差し出してしまうと、自分がリードしているみたいになっちゃう…雰囲気的に相手にリードして欲しいのに…というような微妙な心情が、もしかしたらあるかもしれないよね。知識とロマンの間で揺れてしまう時期って、若い頃ほどあるんじゃないかな。マンガやドラマなどで、コンドームにまつわる描写ってあまり見ないですし。
田辺
たしかに、そうですね。
haru.
今まで見たことないことを、自分がしてみるって、抵抗感や恐怖心みたいなものを伴うし、未知すぎるじゃない?セックス自体も未知なのに、さらに何かまた新たな扉を自分から開けに行くのって結構ハードルが高いのかなと思います。
長井
学校の性教育の授業で教わることって、すでにだいたい知ってるんですよね。私が本当に聞きたかったのは、もっと私小説的なこと。このコンドームについて教えてくれる先生は、初めて自分でコンドームを買ったのはいつなんだろうとか、持っていてからかわれたことあるのかなとか、どうやって自然な流れで相手に着けてもらったのかとか。そういうことのほうが聞きたかった。だから、コンドームについて教えることはもちろん大事だけど、実際に経験した失敗談を話に来るお姉さんお兄さんみたいな方がいたら、私は親近感が湧くし、相談してみようかなって思いますね。
haru.
やっぱり個人の体験って人に刺さるし、響くじゃないですか。でもそういうのが性の文脈でなさすぎるとは思いますね。それでアダルトビデオ(AV)を見たら、もうそれが正解ってなってしまう。
私自身は初めてのセックスの時、コンドームがないのに相手がしたがって、「コンドームを買いに行くか、しないかの二択です」って、結局近くのガソリンスタンドに買いに行った思い出があります。それによって雰囲気が壊れたなんてことはなかったです。「コンドームをつけて」って言うことで、雰囲気が悪くなるんじゃないかみたいなふうに心配になっちゃう子が多いと思うんですけど、そこで気まずくなることはないし、それもいい思い出になるはず。実際には「緊張で勃たない、どうしよう!」とか「うまくコンドームが装着できない!」とか、AVにはないオプションがいっぱいあって、それを相手とともに楽しむのがセックスの醍醐味なのかなと思っています。そうやって相手と向き合うことで、ふたりの相性も、物語も始まっていくから。
田辺
そうですね。スムーズなものが完璧というわけではなんだから!ふたりで協力して壁を乗り越えていくことで、どんどん絆が深まっていく。ひとりでスムーズにいくためにどっちかが努力するより、一から一緒に築いていったほうが楽しい。改めて、そんなことに気づける時間でした。
文:大塚里美
写真:小林真梨子
ヘアメイク:kika(haru.&miya)、小園ゆかり(長井短)、髙千沙都
(田辺莉咲子)
スタイリング:伊藤文香(田辺莉咲子)