10代の青くさーい恋愛から、心の深い部分でパートナーシップを紡ぐような恋愛へ… 歳を重ねれば、恋愛観も変わってくるもの。若かりしころ出版社で忙しく働きながらも青春を謳歌してきた (そして現在も進行中!?)湯山玲子さんが、ご自身の恋愛を振り返りつつ、 世のカップルが仲良く居続けるための秘訣を訓えてくださいました。正座して聞くべし!

  • 振り返ってみて、「若かったなあ」と思う恋愛をしたことってありますか?
  • そりゃありますよ(笑)。 特に大学時は、お年頃という季節もあって疾風怒濤期だったんですね。 ひとつ、今の私の恋愛観にもつながるエピソードがあるんですよ。 とある年上の業界人が好きになって、その男が「男は男、女は女」というタイプだったので、意識的に「日本人女性らしい恋愛観」に自分を当てはめていく恋愛をしてみたんですよね。 「好きになった相手に尽くさなくちゃいけない、好きだから相手の好みに自分が変わることを喜びとする」って。そういうケースでは、たいてい男は上から目線の傲慢態度に出るのはもうもう、当たり前。私みたいに生意気な女を振り回すのが楽しかったんだろうね。 「俺のこと好きならどこまでついてこられる?」という彼のワガママに、私は乗ったんですよ。 恋愛する女はかくあるべき、ってね。
  • 当時の珍エピソードって何かありますか?
  • 彼に「今日30分だけ会えるよ」って言われて指定の場所に駆けつけたんですね。 そしたら彼の仕事仲間がいて、みんなと一緒におとなしくお茶飲んだだけで、30分経ったら「帰ってよ」って。しかもパンツスーツ姿の私を見て、「その格好全然ダメ。俺的にはワンピースがいいんだよね〜」なんてダメ出しもされて。 私も私で、その足で1万円札握りしめてワンピース買いに走ったわけですよ! こういう痛みは危険で、「これこそが恋愛だ」という中毒状態になり、マゾ気質になっていくんですよ。恋愛っていうより、脳内ゲームが始まっていく。ダメ男に行きがちの女性はこのループにハマっているわけです。
  • 「らしくない恋愛」をしていた当時の自分にどんな言葉をかけたいですか?
  • とにかく、「早く洗脳を解け!」と言いたいですね。恋愛ってある種、洗脳じゃないですか。幸せな洗脳だったらいいんだけど、私が見ているかぎり、ストーカーとか、ほとんど不幸な洗脳のほうが多いかな。 つまり対等な関係じゃない。その嫌な男は、飲みながら私のダメなところを他のいい女と比較してチクチク言ってくるわけ。完全に見下されているんだけど、好きだからしおらしく「はいはい」って聞いてた。でも私、トイレで急に我に返って「あ~本当アホらしい、辞めだ辞めだ!」ってメーターが振り切れて、そのまま店を飛び出してお別れ。 そのときに、世間一般的な恋愛ストーリーは自分とまったく合わないし、それをやった瞬間に私の人生はなくなると思ったね。恋愛物語の信者になっちゃいけませんよ。男性もそういう女性は好きじゃないから。独立してる人のほうがモテてますよ。
  • 恋愛物語に酔いがちな女性は何に気をつければいいのでしょう?
  • 自分を大切にしないでマゾ的快感を肥大させる女がヤバイんです。日本の女って耐え忍ぶじゃないですか。育った環境でそういうのを見たかもしれないし、社会的にも「耐えるのが女の知恵よ」って教えられたのかもしれない。 なんで私が彼と別れられたかというと、やはり彼に軽蔑され続けることが、絶対に自分にとって良くないことだ、と直感的に感じたからでしょうね、ずっとバカにされてきて我慢するメーターが振り切れたから。きちんと「この野郎!」って怒れたんですよ。 たとえばちょっとこのメディアに絡めるけど(笑)、コンドームを付けて欲しいときはきちんと主張するのも同じ意味で大切ですよ。いまはそれがマナーになっているけど、私は本当に望まない妊娠が超恐ろしかったので、ずっと「付けて」って言ってましたからね。場をしらけさせるかもしれないなんて気を使わないことです。
  • では、自分に似合うパートナーを見つけるためのアドバイスはありますか?
  • 恋愛物語への理想は捨てて、気の合うそして話が合う男友達や同僚がいれば、もうそれがバートナー。そこに男女関係の欲望を自信を持ってつなげるべきです。 でも、これ日本人はホントできないんだよね。「彼(彼女)とは友達だから、セックスはできない」とこうなる。 恋愛心ありきのセックスはもちろん良いんだけど、それじゃ、恋愛心の消えた夫婦間のセックスはできなくなる。セックスレスはこのあたりにも原因があるのです。 ちなみに、職場ではたとえば部署が一丸となってプレゼン頑張ろうってなったとき、打ち上げの席で男女関係になる場合があるんだよね。その感覚ですよ。 同士愛やお互いに尊敬し合う関係に自然とセックスが結びつく。でも、世間一般の「恋愛」ではない。しかし、それこそが恋愛と言っても良いのではないだろうか、と。
  • 現代、セックスレスがはびこっていて恋愛できない男女も増えています。一概には言えないかと思いますが、セックスレスを打破するにはどうすればよいでしょう。
  • これはね、まずは「孤独を知る」こと。 最近は特にSNSでがあるから孤独を自覚しにくいんですよ。 始終つながっているし、友達の様子も常に把握できる。でも1人で知らない土地に出張に行ったときや、海外のひとり旅なんかでは、ものすごく人恋しくなるときがある。ああ、ここにあの人がいたらいいのになって感覚。その欲求がつまり、恋愛ということなのだと思う。 まあ、我が家の場合、タイにふたりで旅行に行っても旦那と完全に趣味が違うから別行動。夕飯だけ一緒に食べるんだけど、その一瞬はちょっと恋愛に似た感情がよみがえりますよね(笑)。このテクニックを使うとすると、高級寿司屋もいいですよ!ほとんどの若いカップルは、銀座の久兵衛なんかにはなかなか行けないじゃないですか。 しかし、もし勇気を出して店に行ったならば、新参者の若い2人が手を取り合って粋に寿司を食べる、という共同作業をしなければならない。他の常連客はみな敵ですよ(笑)。 あとは、私の新婚旅行みたいにモロッコで砂漠を横断するのもいい。スリリングですからね(笑)。お互い手を繋がないと生きていけない、その状況を作ってみるのは、ものすごく結束感が強くなる。まさに「世界にふたりだけ」状態は、心も身体も燃えますよ。
  • カップルがラブラブでいるためのメッセージをお願いします!
  • カップルの噛み合わせってすごく独特なものだから、一般論ではない「2人の関係性のルール」を認めるとうまくいくと思います。 ウチもかなり変わっていて、私、パリに行くの旦那さんに伝え忘れて旅立っちゃったことがあってさ。彼は私が地球のどこにいるかSNSで知ったっていう(笑)。 驚くほどお互い一切、束縛や嫉妬しないんですよ。ひとに話すと驚かれるかもしれないけど、私たちふたりはそれでよくて、快適に生活できてるんだからOK。 たとえば眠るときに、相手のイビキが嫌だったら別居すればいいじゃない。カップルは誕生日を祝い合うものだとか、彼氏や夫たるもの、これをしなくちゃいけないとか、世間一般の習わしに自分たちを当てはめないことにつきます。ウチはウチ、他人は他人ですからね。 一般論よりも相手を尊重して、2人の関係を育てていくことが、末永く仲良くいるための秘訣だと思いますね。

プロフィール

湯山玲子さん

著述家・ディレクター

1960年東京生まれ。雑誌や単行本の編集、執筆に加え、広告のディレクション、プロデュースなど、多方面で活躍。現場主義をモットーに、クラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッションなど、文化全般に通じる。日本大学藝術学部文藝学科非常勤講師。 最新著書は、AV監督二村ヒトシとの共著『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(幻冬舎)。

conixさん

イラストレーター

イラスト・マンガ・グッズ製作など、様々なメディアにて活動中。コミックタッチな絵柄が国内外問わず支持されている。